高校時代

自分は高校のとき機械科だった。
なんに対してもやる気が無く、自分の学力ですぐ入れてできるだけ家に近い学校が良いと言うだけで入った学校である。
本当は通っていた中学の隣にも高校があったのだが、自分の学力が底辺すぎて入れなかった。

それは良いとして、高校は凄いとこだった。
いや、中学が平和(ピンフ)過ぎたせいでカルチャーショックで死ぬかと思った。
実際に色々意味で死にかけた事もある。多くは笑い死にだったが。

笑い死にの中から一つ

高校三年の時である。
確か夏だったと覚えている。
同じ三年の電気科の教室から金品が盗まれると言う事件が起きた。
なんでも、体育の授業中に教室に入り奪っていったらしい。
通常なら部屋のドアには鍵をかけておかなければならないのだが、担当の生徒が忘れて授業に出て行ったらしい。
総額にして数十万。お金自体はたいした額ではなかったものの、あのころはMDが流行っていてクラスの半分以上が持っていたらしくそれが全て盗まれていた。
学校では大事件であるが、電気科に知り合いもいなく財布はいつも500〜1000円、MDどころかCDウォークマンすら持っていない自分としては、全く無関係で特に気にする必要も無かった。

そんな自分とは関係なく、学校では犯人を探そうと躍起になっていたらしく知らないところで何人かに事情聴取をしていたようだ。
事件が起こってから1時間ほども経たないうちに、学年主任がぞろぞろとお供の教師ら連れてうちのクラスに来た。
教壇に立ち

主任「今日、皆も知っているとおり3−15組で盗難事件が起きた。」
生徒「あ、だぁ〜らなんだよ。」
生徒「うっせ、け〜れ。」
ざわめく教室
お供A(体育教師)「五月蝿い。静かにしろ!」
一瞬静まるがすぐにまたざわつく。
主任「ちょっと聞いてくれ。」
やや大声で喋り。少々静まる。
主任「単刀直入に言う。この中に3〜4時間目の授業の間に3−15組に入ったヤツがいる。」
生徒「マジかよ」
生徒「てか、うちらのこと疑ってるのかよ。」
生徒「ちょーウゼーんだけどよ」
生徒「んなことするやついるわけ無いジャン」
馬の又に虫が入って大騒ぎ
主任「誰かは言わない。なので私物をチェックさせてもらう。
これには大ブーイング。
機械科なんで、漫画にゲーム、酒にタバコ何でもござれだった内のクラス。
普通に私物チェックやったら停学のみならず退学者続出が当たり前。
主任「ここで、ゴネなければ今回の処分は無しにする。」
の一言で、多少ごねたものの私物チェックすることに。
まず教室の中とロッカーをチェックされ、次に3名づつ呼ばれ私物のチェックをされた。
その三名が名前順じゃなくてなんか適当だった。
何番目に呼ばれるか解らないので友達と漫画を読んで待っていたら早い段階で呼ばれた。
自分と増田と栗原。
栗原とは仲良くて一緒に遊んだりしてたんだけど、増田とは何故かあまり喋らなかった。
自分も栗原も窃盗なんてする柄でもなく早くおわらねえかなってぼうっとしてたんだが、どうも増田の様子が変。
かなりビクビクしてる。
こいつが犯人なのか、などと考えてた。
とりあえず、自分が一番に見られるそうなんでバックを空けた。
バックの中は、ほぼ漫画とギャザ。その頃は自分の中でギャザが流行ってたからな。もちろん没収
されたけど。漫画やギャザでは処分はされないんだけど、不要品ってことで没収された。後から聞いてみるとタバコやライターなども全部没収されたらしい。
泣く泣く、中身を提出し空になったバックを壁に投げつけた。自分の中の最大の反抗だった。
次に増田なんだけど、中々バック開けない。
無理やり取り上げられて、開けさせられたんだけど中身が教科書類とバイブ。
本当にバイブだった。ローターではなくバイブ。
主任も唖然としてた。もちろん自分らも唖然としてた。
数瞬間を置いて、自分達は大爆笑。かなりの確率で死ぬかと思った。立ってられなかった。
クラス内まじめな方に入る増田がバイブ。
2〜3分笑ってた。笑いすぎて外か別の教師が入ってくる。

主任もどうすれば良いかわからず、バイブ握ったままだった。しばらくして、バックにバイブ戻す。それも、笑いのつぼに入りまた大爆笑。
五月蝿いってことで外にオン出されても大爆笑。皆に聞かれたので説明して大爆笑。その声で他のクラスもどんどん出てきた。
もう、私物チェックとかじゃなくなった。

その後、増田はバイブっと呼ばれるようになった。
因みに、内のクラスからは盗難品が見つからず、クラスの不良達が切れてクラスでボーイコット。
タイミング合わせて3日後に登校した。
一時間目から全員いる事が非常に珍しいクラス(っというか初めてだ)だが今日は全員いた。主任が普通にあやまってくれた。不良らも普通にあっけなく許した。
めでたしめでたし。



あれから数年たって実はあの犯人が内のクラスにいた事が判明した。
あの時はバイブに救われたらしい。
まあ、どうでもよいことだ。